自らがつくり出せない酵素を得る

細胞は、自分に必要なほとんどすべての化学反応を実施する、多種多様な酵素をつくり出すことができます。


とはいえ、全状況に対応できるようなあらゆる酵素をつくることは不可能です。


化学工業は、さまざまな化学物質を製造していますが、なかには、毒性がきわめて強く、しかも細胞が分解できない物質があります。


人間は、ダイオキシンという化学物質を無害な化合物に変えることはできません(無毒化できるのであれば、きわめて有用な物質になっているでしょう)。


なぜならば、その役目を担う適当な酵素が体内に存在しないからです。


同様に、私たち人間は、ビタミンB12という化合物を生産する化学反応を触媒する酵素も自家生産できません。


ですから、ダイオキシンは決して摂取してはなりませんが、それとは逆に、ビタミン矧を含む食物は摂る必要があります。


私たちは一種類の食物を摂りすぎたり、逆に他の食物が不足していたりすると病気になります。


資本主義へのドーピング注入 8

ヨーロッパ諸国の成熟した資本主義は、これらの買収慣行に対する関心とその利用を長い間失ってきましたが、この資本主義に買収が大挙して復活し、急増するおそれがあります。


この資本主義は、経済的不平等を強めるのに加えて、買収者になりうる者(金持ち)と収賄者になりうる者(権力者)のあいだに主要な社会的裂け目をうちたて、その裂け目を承認しています。


そのうえこの資本主義には、労働なき所得の存在が見られるのです。


この不労所得は、事前の貯蓄をまったく前提としなかっただけになおさら人目を引きます。


たとえそれらの所得が才能の宝庫の上に築き上げられたとしても、それだけにやはり大多数の者にとってそれは手に入りがたいものであり、したがってより異論の余地あるものなのです。


この道が閉ざされている以上、買収の感染はもっぱら反乱の感情を引き起こすことになりかねません。


犯罪の増大は、この反乱の感情のごく自然な表れにちがいないでしょう。


犯罪がすでに別のさまざまな源泉(失業、人種統合の困難、メディアの宣伝)を糧にしてはぐくまれているだけに、なおさらです。


これらの都合のよい状況がすべてそろわなくても、犯罪は買収と同じ道をたどることにしかならないでしょう。

資本主義へのドーピング注入 7

速い速度の地域社会の人びとにおいては、周知のように、権力の本質的な優位は、公共サービスを社会的に享受することにではなく、金儲けの種をつくる能力に存しています。


いささか遅い速度を余儀なくされているその他の大多数の市民においては、小規模な買収が一般化し、それが所得分配に根本的な寄与をおこなうような賄賂とうまく足並みをそろえています。


後者のいわゆる「非公式」な循環には、寛大なところもあります。


この循環はつねに諸社会の成長期に見合っています。


諸社会はこの循環を始祖伝来から利用してきたが、今日もその延長上にあるのです。


つまり買収は、金持ちと貧乏人という2つの陣営を切り離すよりも、両者を結びつけるのです。河成鎮生氏によると、金持ちも貧乏人も、ともに罪の味をしめるのと同様に、買収の味をしめる。ただその賭け金がちがっているにすぎません。


しかし、目的はちがっても手口は一緒なのです。

資本主義へのドーピング注入 6

2人の主役にとって、節度を守る可能性はほとんどありそうもないでしょう。


買収者にとって、権力への道はしだいに高価となるのです。


収賄者にとっては、価格を引き上げればやがては夢のような資産が手に入るから、取引を増やし、貨幣と友情とを投資します。


契約の大量の流れが自己規律によって巧みに規制される可能性はほとんどありません。


その逆に、さまざまなゆきすぎへの門戸は開かれています。


このゆきすぎは、買収のヘッドハンターにとっての唯一のチャンスでしょう。


いたるところで買収を煽り立てているのは、買収の誇大妄想にすぎないのです。


しかし、買収がはりついたところではどこでも、スキャンダルが露呈するのに先立って、買収がさまざまな愛好家を寄せ集め、これらの愛好家がひたすら買収を行動に移すことだけを求めるのです。


このような自然的感染は、さまざまな被害を引き起こします。


買収が不平等の積極的な拡大を促し、この不平等から生ずる異議申し立てが社会をくまなく覆うようになるだけに、この被害はますます大きくなります。


しかし、買収とその慣習が全般的に波及し、それゆえ受け入れられるとしても、その危険は依然として限られています。


たとえその社会が著しく不平等な社会であるとしても、そうです。


たとえばアフリカの資本主義、南アメリカの資本主義、そしてある程度まではアジアの資本主義において通例見られるように、この不平等にはきわめて異なった2つの速度があるのです。

資本主義へのドーピング注入 5

われわれはこの危険の重大さに気づき始めています。


というのも、買収は商品経済の世界を押し広げ、貨幣をさらにさまざまな習慣や道徳意識にまで波及させ、実質的な所有権や不当に得られた所有権に価格をつけるだけにとどまらないからです。


買収は社会体にウイルスをもちこみます。


このウイルスは、その細胞が誕生して以降あらゆる社会領域をむしばんでいくのです。


買収の契約が社会慣習として根づく場合には、そこには相互補完的な、しかし同様に有害な2つの態度が前提とされます。


買収者は貨幣の権力を信頼します。


なにがなんでも貨幣が押しつけられ、貨幣が権力の全面的な代用品に仕立てあげられ、この権力のためにしだいに個人的な努力がさほど必要とされなくなるのです。


個別的な、あるいは集団的な規範は存在しないが、ただし自己の権利を行使するのに応ずることのできる価格とか、応ずることのできない価格は存在するのです。


買収される者は、それよりも雑多な感情を経験します。


かれらの所得はいかなる労働にも結びついてはいません。


その所得はかれが包み隠さなければならない職権乱用と結びついています。


ただし、収賄者は高収入が得られる役職の一部を共犯者この共犯者はやがて収賄者を支配するであろ
うに譲ることもありえます。


怠惰、盗み、隠匿、恐喝・・・


これらはなんびとも説き明かすことのできない買収の絵模様のさまざまな色彩なのです。

資本主義へのドーピング注入 4

それでも、政府の諸機能を保有するすべての人びとの絶対的、相対的な優位が増大していくにちがいないでしょう。


そしてついには、その優位を隠しきれなくなるにちがいありません。


それゆえ買収は社会の異議申し立てをどうして引き起こさないはずがありましょう。


そこでは税金逃れと新しい不正直がさらに正当化されるからです。


新しい《第3身分》の巨大な中核と、司令権力の小アーモンドとのあいだのこの緊張を感染させず、またこの緊張が寡頭政治の危険を自覚するようになった社会機構を動揺させないようにするには、いったいどうしたらいいのでしょうか。


われわれにはそれがわからないのです。


そうは言っても、最終的に消えていかないような累積的過程はありません。


累積的過程は、その厳密さを失うか、あるいはもはやその存在理由を見いだせないことによって、最終的に消えていくのです。


買収に対する闘争を積極的に押し進める政策を欠く場合には、豊かな社会においても、それ以外のすべての社会においても、社会的不平等は不可避的に増大し、この増大はやがて政治的な異議申し立てをもたらします。


この異議申し立ての方法は、われわれが慣れ親しんでいる方法とはあきらかにかなり異なったものとなりえるでしょう。


買収を実践する人びとが買収を再審に付す可能性に関して言えば、この可能性はさしあたりはだれも予測しえないような道徳的な方向転換を必要としています。

資本主義へのドーピング注入 3

差し当たりこの脅威は、依然として不確かなままです。


問題の「買収」という慣行が長続きするには、それを目立たないようにしなければならないだけに、また買収の受益者がほどよくこの慎みを保つ力をもっているだけに、この脅威はなおさら不確かです。


買収が徹底的に普及して社会的風習にまでなるほど長期にわたって、買収の受益者が慎みを保つ力を手に入れるものとするなら・・・


不平等の現状は権力、所得、資産、生活の利害から見て恵まれた者に有利になるようにつき崩されるでしょう。


買収は不平等を増大させる累積的過程を引き起こします。


われわれはこの不平等の可能な緩和策を察知することができません。


若い世代がますます急速に、そして自然にあえて言わせてもらえば、買収の環境に馴染んでいくだけに、したがってはなはだあいまいな境界を飛び越えることをしだいにためらわなくなっていくだけに、なおさらなのです。

資本主義へのドーピング注入 2

買収のもっとも異論の余地なき危険は、今日資本主義が豊かな社会において達成した社会的均衡を再審に付するということです。


この次元の安定性は、主として中産階級に、つまり新しい《第3身分》にもとづいています。


この第3身分は、今や多数派であり、その嗜好や選好においても、また差異を求める要求においても、きわめて同質的なのです。


この果実の巨大な核と残りの果肉とのあいだの境界はたえずしだいにあいまいになってきました。


ただし、下流においては人種的特性が際立った住民(ヨーロッパでは移民が、また米国では黒人がそうです。


かれらは満足度のもっとも低い仕事に閉じ込められています)が、また上流においては異質な人口集団(しかし権力の錦の御旗は、苦よりも楽のためにこれらの集団を結集する力をもっています)が、中産階級からはっきりと隔てられているのです。


この社会的均衡は、たんに数の力に由来するだけではなく、許容しうるとみなされた不平等の度合いにも由来しています。


3つの敵対的集団のいずれもがこの不平等を望んでいるとしても、そうです。


ほぼ半世紀前から、この不平等の手直しがあらゆる社会政策のもっとも重要な目標となってきました。


この社会政策はさまざまな呼称(社会民主主義、人間の顔をした社会主義、見識のある保守主義)で呼ばれ、あらゆる先進諸社会に共通する政策となっています。


ところが、買収の増大は、そもそもたえず脆弱な状態にある社会的均衡を結局のところ脅かすことになります。

資本主義へのドーピング注入

ドーピングには本来経済的な危険はありません。


すくなくとも直接的にはそうです。


豊かな諸国が賄賂を普及させる制度をとり入れるということも、また公的・私的エリートの選別方法を放棄するということも、ほとんど考えられません。


買収はおそらくいくつかの虚偽の投資を促すでしょう。


しかし、もしもこの虚偽の投資がなによりもまず技術進歩により規定される成長の速度と方向に変更
を加えるほどの広がりを得るとしたら、それは驚くべきことでしょう。


本当の危険は別の点にあります。


それは3つあり、そのうちの1つは政治的次元にあります。


この政治的次元における危険は、特別に扱うだけの値打ちがあるのです。


というのは、この危険は他の2つの次元における危険を含みこんでおり、場合によっては他の2つの危険を和らげたり、その逆に強めたりするからです。


経済的なものと政治的なものとを媒介する他の2つの危険とは、社会的次元における危険と道徳的次元における危険です。

「ルック・イースト政策」がめざすもの

独立後は、豊富な低賃金労働力を背景に、軽工業などの輸入代替型工業の開発に重点がおかれました。

1970年代のブミプトラ政策以降は、輸入代替型から輸出指向型へと変化しました。

80年代に入ると、日本や韓国に学ぼうという「ルック・イースト政策」を掲げ、工業立国への転換をめざします。

輸出加工区を設置し、外国資本と技術を積極的に導入。

日本・アメリカなどの企業の進出にならい、工業化が進められました。

特に半導体の進出は著しく、世界最大の輸出生産拠点となっています。

VTR、エアコンなど家電製品も、世界的な輸出国となりました。

貿易構造も、天然ゴム・すず鉱から半導体・家電製品を中心とする機械類へと変化しています。

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