自らがつくり出せない酵素を得る 5
ビタミンを生産する用途以外にも、酵素は、原理的には、産業廃水を分解して無害化したり、海上に漏出した.石油を分解したりするなど、あらゆる反応の触媒として利用できます。
新しい酵素をつくり出したり、既存の酵素を大量に欲しいときには、試験管の中でしかるべきアミノ酸をしかるべき順序で結合すればいいのです。
(ただし、すでに述べたように、アミノ酸の正しい配列順序を見つけ出すのがひと苦労です)。
あるいは、仔ウシの胃からレンニンを抽出したように、生物から酵素を取り出してもよいでしょう。
しかし、酵素は永続的に働きを保てません。
手もちの酵素がなくなれば、再び試験管や仔ウシに戻ってやり直さなければならないのです。
他方、私たちにとって必要な酵素のつくり方を細胞に教える塩基配列を備えているDNAを取り出した場合は、DNAの自己複製能力を利用して、望みのときにいつでも多量のDNAをつくり、それを利用して酵素を生産することができるのです。
元のDNAは1個でよいのです。
それを自己複製させれば、望みの量のDNAが手に入ります。